花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
第参話 櫻坂
私の家、古川家はもともとノースエリアのあの門の中に邸宅があるような家だった。
だけど私が小学校に上がる頃、父の代で投資に失敗した。
借金こそ少額で済んだものの家や財産は失って、家族がみんな必死で働くことになった。
父と母は身体を動かして働くことに慣れていなくて、じきに身体を壊してしまった。
そして、母は病で、父は仕事中の事故で、私が中学生の頃に相次いで亡くなった。
どちらにも兄弟はいなかった。
父の死が本当に事故だったのか正直なところわからないけど、保険金が入ったので残された祖母と二人で慎ましく暮らしてきた。
それに加えて祖母は高齢だったけどパート勤めをしてくれたし、私も高校生になってからは毎日アルバイトをした。
そして二十歳になった私は、奨学金で大学に通いながら祖母の看病とアルバイトをしている。
高校卒業まで毎日お弁当を作ってくれて、話し相手にもなってくれて、いろんなことを教えてくれた祖母は、私の大切な大切な唯一の肉親。
それなのに神様は意地悪で、私の大学進学とほとんど同時に祖母の腫瘍が見つかった。
本当は手術をして少しでも長生きして欲しいけど、手術にお金がかかることと、その先の人生で私の負担になってしまうことを嫌がって緩和ケアを選んだ。
〝独りにしないで〟
って今でも思ってる。
だけど、祖母の決断を尊重して笑顔で送り出すのが私の役目だ。
祖母が少しでも苦しまずに、幸せな最期を迎えられるようにしたい。
だけど私が小学校に上がる頃、父の代で投資に失敗した。
借金こそ少額で済んだものの家や財産は失って、家族がみんな必死で働くことになった。
父と母は身体を動かして働くことに慣れていなくて、じきに身体を壊してしまった。
そして、母は病で、父は仕事中の事故で、私が中学生の頃に相次いで亡くなった。
どちらにも兄弟はいなかった。
父の死が本当に事故だったのか正直なところわからないけど、保険金が入ったので残された祖母と二人で慎ましく暮らしてきた。
それに加えて祖母は高齢だったけどパート勤めをしてくれたし、私も高校生になってからは毎日アルバイトをした。
そして二十歳になった私は、奨学金で大学に通いながら祖母の看病とアルバイトをしている。
高校卒業まで毎日お弁当を作ってくれて、話し相手にもなってくれて、いろんなことを教えてくれた祖母は、私の大切な大切な唯一の肉親。
それなのに神様は意地悪で、私の大学進学とほとんど同時に祖母の腫瘍が見つかった。
本当は手術をして少しでも長生きして欲しいけど、手術にお金がかかることと、その先の人生で私の負担になってしまうことを嫌がって緩和ケアを選んだ。
〝独りにしないで〟
って今でも思ってる。
だけど、祖母の決断を尊重して笑顔で送り出すのが私の役目だ。
祖母が少しでも苦しまずに、幸せな最期を迎えられるようにしたい。