花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
第肆話 孤独ト求婚
***
春海櫂李、どこで名前を聞いたのか、日本画家だと聞いて思い出した。
五月、祖母の葬儀というほどではない小ぢんまりとした葬儀を終え、色々な手続きを済ませて久しぶりに大学に顔を出す。
大学は徒歩で通える圏内、ベリが丘のビジネスエリアにある。
三回生に進級してから大学に来たのは、授業選択のために合計七日間くらいだろうか。
「あ、木花! 来られるようになったんだ。大丈夫?」
私を見つけた友人が心配そうに声をかけてくる。
同じ学科の青木香奈は事情を知っている数少ない友人だ。
祖母の焼香にも来てくれた。
茶髪のセミロングを一つにまとめていて、猫のようなツンとした目の、明るい性格の子だ。
「なんか痩せた?」
「うーん……さすがにあんまり食欲がなくて」
悲しいかな、家族を失うことには慣れてしまっているから、じきに食欲も戻るだろうと思っている。
ただ、今まではずっと祖母が支えてくれていたのに今回はそれがなくて、正直比べものにならないくらい堪えている。
私にはもう誰も、助けてくれる人がいないんだ。
春海櫂李、どこで名前を聞いたのか、日本画家だと聞いて思い出した。
五月、祖母の葬儀というほどではない小ぢんまりとした葬儀を終え、色々な手続きを済ませて久しぶりに大学に顔を出す。
大学は徒歩で通える圏内、ベリが丘のビジネスエリアにある。
三回生に進級してから大学に来たのは、授業選択のために合計七日間くらいだろうか。
「あ、木花! 来られるようになったんだ。大丈夫?」
私を見つけた友人が心配そうに声をかけてくる。
同じ学科の青木香奈は事情を知っている数少ない友人だ。
祖母の焼香にも来てくれた。
茶髪のセミロングを一つにまとめていて、猫のようなツンとした目の、明るい性格の子だ。
「なんか痩せた?」
「うーん……さすがにあんまり食欲がなくて」
悲しいかな、家族を失うことには慣れてしまっているから、じきに食欲も戻るだろうと思っている。
ただ、今まではずっと祖母が支えてくれていたのに今回はそれがなくて、正直比べものにならないくらい堪えている。
私にはもう誰も、助けてくれる人がいないんだ。