拗らせ女の同期への秘めたる一途な想い
それは断言できる。
なんなら私の片想いだ。
「だって、巧は恋愛はめんどくさいって言ってたし」
「榎本が直接すみれに言ったの?」
「ううん。同期会の時に渡辺くんたちと話しているときに言ってた」
「それって男同士で話してたのを盗み聞きしたってこと?」
「盗み聞きって……。まあ、そうとも言うけど」
好きな人の声は自然と耳が捉えてしまうわけで。
本音を言えば、私だってあんな巧の言葉なんて聞きたくなかった。
「榎本ってさ、女子の同期で仲がいいのってすみれだけなんだよね」
「えっ?」
「私、同期会でも榎本とほとんど喋ったことないよ。それに、他の女子とも親しげに話しているの見たことがない」
言われた意味が分からず、パチパチと数回瞬きする。
「榎本が自分から話しかけるのはすみれだけ。下の名前で呼ぶのもすみれだけ。それって、どういうことなんだろうね」
明日香が頬付けをつきながら意味深なことを言う。
「ねぇ、お見合いする前に榎本と本音で話し合ってみなよ。じゃないとすみれ、後悔するよ」
そう言って、明日香は食後に運ばれてきていたコーヒーを飲み干した。
後悔……。
「いい機会だし、お互いに腹を割って話しな。じゃ、戻ろうか」
明日香が伝票を持って立ち上がる。
「奢ってくれるの?」
「まさか、個別会計に決まってるじゃん」
「ここは奢ってくれる流れかと思ったのに」
「調子に乗らないで」
そんなやり取りをしながらレジに向かった。