カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「本郷先輩っ…どうしたんですか!」

強く私の腕を引いて、強引にソファに倒される。
覆い被さるようにして、また逃げ場を奪われる。

先輩、どうしちゃったの!?

今までとは違う目つき。
無表情で感情が全然読み取れない。

なのに私を憎んでるとか、そんな感情はなぜか無い気がした。

腕を伸ばしてグッと先輩の体を押してみたけれどビクともしない。

私の耳元で先輩は言った。

「砂雪。お前をずっと探してた」

「どういう意味っ…」

耳のすぐ近くで感じる吐息。
脳の奥まで支配されそうな、いつもと違う甘い口調。

「俺を忘れたなんて言わせない」

「せんぱっ………」

スッと身を引いた先輩は冷たい視線のまま制服のブレザーを整えて、私を立ち上がらせた。

「制服、乱れてる。直してから来いよ」

こんな風にしたのは先輩なのに、私を置いてさっさと生徒会室を出ていってしまった。

私は一人で取り残された。

なに…!?
一体なんだったの?

「俺を知ってるだろ」って?
「忘れたなんて言わせない」って?

あの目は何?
あの甘い口調は………。

急に豹変してしまった本郷先輩の態度にわけが分からないまま私は生徒会室を飛び出した。

鍵はテーブルに置かれたままだったからきちんと閉めた。

鍵を閉める手が震えていた。
心臓がありえないくらいにバクバク鳴って痛いくらいだった。

どんな顔をして本郷先輩と顔を合わせたらいいの?
< 33 / 236 >

この作品をシェア

pagetop