カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「あなたは?何をしに来たの?美術部員じゃないわよね?」

「なんでですか?美術部です、私」

「そう。私達、生徒会だから言っちゃうけど、全校生徒のデータは把握してるの。私達は見落としてることもあるかもしれないけど。会長…本郷 カナデは絶対に見落とさない」

「っ…」

本郷先輩の名前を出された瞬間に少女は何も言えなくなった。

学園に君臨する絶対的支配者。
彼の存在の大きさを思い知る。

「もう一度聞くわね。ここで何をしてたの?」

「………ヒロムくんに会いにきたの」

「ヒロムくんって?いつ来るの?」

長谷川さんがノートに記録しながら、廊下のほうに視線をやった。

少女の表情が急にパッと明るくなって、跳ねるような声で言った。

「何言ってるんですか!居るじゃないですか、目の前に」

「は…」

私も中村さんも長谷川さんも、狐につままれたような表情で顔を見合わせた。

ここにはどう考えたって私達生徒会と、少女しか居ない。
少女の隣には真っ白で所々が欠けているダビデ像の顔が置かれているだけだ。

そのダビデ像の頬を愛おしそうに撫でて、少女は言った。

「見て。こんなに綺麗。ね、素敵だと思いませんか?」
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