カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「失礼しまーす」

「砂雪ちゃんお疲れ様!」

生徒会室に入るなり鈴城さんが腕にギュッと抱きついてきた。

この仕草、モネみたいだな。
私の周りの女子はスキンシップ多めじゃない?
このコミュ力は凄い。

「あれから大丈夫だった?」

鈴城さんがみんなには聞こえないようにコソッと聞いてくる。

思い出すだけで今もむず痒い。
あんまり意識しないようにしてるんだけど。

「大丈夫です。本郷先輩の前でも普通にしますよ」

「そう?なんかあったら言ってね」

「はい。それより!」

急に大きい声を出した私に、鈴城さんは「わ!びっくりした」って言って笑った。

「今日、なんか平和じゃないですか?誰もドアに群がってないですよね?」

「アレよ」

「外見てみ」

戸田さんがテーブルで何かを一生懸命記入している。
覗いたら「今年度予算案」の文字。

生徒会らしい作業をしているほうが珍しく見えるなんて。
私もこのおかしな状況に染まってきている。

戸田さんに言われた通り、会長席の後ろの窓の外を見てみた。

生徒会室の窓からは運動場が見下ろせる。
校門に行くには校舎を出て運動場を突っ切る形になっている。

運動場の一角にとんでもない人数の生徒が集まっている。
全校生徒くらいとは言わないけれど、目視では数えられない。
< 79 / 236 >

この作品をシェア

pagetop