カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「本郷先輩もなんで素直に行っちゃったんですか?」

「カナデ、言ってたでしょ?私達を守るって」

「はい」

「おかしいと思わない?みんなあんなにカナデのこと求めてるのに誰も私達には手を出してこない」

「ほんとそうですよねー」

長谷川さんのやわらかい口調が、本郷先輩の置かれてる状況とは正反対で脳がバグりそうだ。

後ろのテーブルでは戸田さんと中村さんが、こんな状況はもう慣れっこなのか、全然興味を示さないまま、予算案と向き合っている。

「カナデがね、威嚇してるの」

「威嚇?」

「君達の望みは叶えてあげるよー、でも生徒会員には手を出すな、ってね。毎回は無理だってさすがにあの子達も理解してる。でもいいタイミングで供給しなきゃ何してくるか分かんないから」

「なんでそうしてまで私達を…」

「心を休める場所が必要だからよ」

「心を休める為に?」

「カナデも人間なの。当たり前に、ただの人間。なのにたまたまあの姿で生まれてきてオマケに頭脳明晰。スポーツもなんでもできるのよ。カリスマ性もある。そしたらいつの間にかカナデは人間から神様になってた」

「それは私も思ってました。でもここの人達は違うって。ちゃんと本郷先輩を一人の人間として尊敬してるんだろうなって伝わってきたから…」

「ふふ。砂雪ちゃんも分かっててくれて嬉しいよ。だからね、カナデは生徒会室に居る時くらいは休める場所が欲しいのよ。その為にも私達が必要なの。利用されてるんだとしても、私はそれでもいいって思ってる」

「利用されてても?」

「うん。それでも私達がカナデが心を休める場所になれるのなら」

心を休める場所。
私達はその為に本郷先輩に選ばれたメンバーなんだろうか。

「カナデはきちんと個人のデータベースを把握した上で生徒会入りを許可してるの。だから誇りに思ってね。この場所は誰彼構わずに在籍できる場所じゃないから」

「それかっこいいですね!」

「でしょ!?さっすがハッセー!」
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