カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「うるせーよ砂雪」

「ちょっとこっち来ないで!」

「はぁ!?お前が呼んだんだろ!?」

「そんな大群で来ないでー!」

朝礼台から飛び降りてダッシュで校舎に逃げようとした私を、本郷先輩は簡単に捕まえてしまった。
走るのにも自信があったのに…。
本郷先輩がスポーツ万能だって言われてることを忘れていた。

胸の下らへんから先輩の片腕に抱えられたまま、逃げようと必死にもがいたけれど先輩のロックは固い。

「なんで逃げんだよ」

「だって怖いですー!」

「ちょっとあんたねぇ!」

ほら…ギャルさんが来ちゃったじゃん…。

本郷先輩が離してくれないから自分の体とは反対方向に先輩の腕を押しながら、ギャルさんに必死で弁解した。

「私達これから仕事なんです!だから勘弁してください!」

「うちらも先週のご褒美でやってもらってんの!邪魔される筋合いないから!それに鈴城さんの許可も貰ってんのよ!」

「それは聞いてます。でも今日はもう…」

「どうした?」

本郷先輩がやっと腕を離してくれて、その代わり体を先輩のほうに向かされた。

「ちょっとカナデ様から離れなさいよ!」って後ろの女子達が叫んでる…。

「もう依頼に行かなきゃいけない時間で…。今日は中村さんも戸田さんも行けないから絶対鈴城さんと本郷先輩に行って欲しいって…だから…」

「分かったよ」

先輩が私の頭にポンって手の平を乗せた。
不思議とすごく安心する動作だった。
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