カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「みんな、ごめんな」

本郷先輩が集まった大群に向かって謝っている。

「もう終わりなんですか!?」

「えーっ私まだなのに!」

「最悪…死んじゃいそう…」

本当に生きる理由を奪われたみたいにショックを受けたり、本気で泣き出す子まで…。
ものすごく酷いことをしたみたいで胸が痛くなる。

「もう生徒会に行かなきゃ。でも俺も楽しかったよ」

「カナデ様、本当ですか!?」

「ほんとだよ。だからまたこういうのしようね?」

絶望の悲鳴が黄色い悲鳴に変わる。
その隙に先輩は私の手を引いて校舎の中に入っていった。

ギャルさんだけがずっと私を睨みつけていた気がするけれど、とりあえずあの場から逃げ出せて良かった…。

校舎に入ったらすぐに生徒会室に行くって思ってたのに本郷先輩は下足箱から上がってすぐにある空き教室のドアを開けた。

「先輩?」

黙ったまま引き込まれて、先輩はドアをピシャッと閉めた。

「先輩、急がないと!」

壁際にドカっと座ってあぐらをかいた先輩に腕を引っ張られて、その中にすっぽり収まってしまった。

そのままギューっと抱き締められて、先輩は私の首筋でスーッと呼吸を繰り返した。

「ん…ゃ…」

息がかかってくすぐったいし、悠太への罪悪感で苦しい。
付き合ってるわけじゃないんだけど…こういうの、誰にでもさせてるみたいで嫌だった。

「せんぱいっ…やめてください!」
< 85 / 236 >

この作品をシェア

pagetop