カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
体をちょっとでも遠ざけて先輩から逃げようと試みた。

「やめない」

首からは離れてくれたけど、私を抱き締めたまま制服に顔をうずめる先輩は子どもみたいにそのまま眠っちゃいそうだった。

「先輩ってば!みんな待ってるから」

「砂雪ちょっと待ってよ」

「もう…どうしたんですか?」

「ちょっと補充させて」

「補充って?」

「養分…」

「養分って…。もし誰かに覗かれたら殺されちゃいますって!」

「いいじゃん見られても。そしたら言ってやるよ。こいつは俺のだから手出すなって」

「違うって言ってるじゃないですか!それに私好きな人が…」

「あぁ…そういえば砂雪」

「はい?」

やっと制服にうずめていた顔をあげて、それでも抱き締める腕はゆるめないまま、本郷先輩は真剣な目で言った。

「砂雪、お前さぁ…まだ処女?」

「………は!?」

「処女か違うか聞いてんだよ。イエスかノーしかない答えでいちいち考えんなよ」

「いやそうじゃなくて!何言ってんですか!?」

「俺さぁ言ったよな。俺以外のキス、覚えんなよって。この体もだよ」

先輩が抱き締めたままの腕でふわっと私を床に押し倒した。

生徒会室で乱暴に扱われた時とは違う。
大切な物を扱うような所作で私に触れる手に戸惑ってしまう。

「やめて…やめてください!」

「まーた好きな人がーかよ」

「また鈴城さんに…!」

「みなみにチクッてもムダ」

「なんでこんなことばっかりするんですか!」

「許せないから」

「許せない?」

「俺がここにいんのに他の男のことばっか言ってんなよ」

本郷先輩の手が私のリボンをグッと引っ張って簡単に解かれてしまった。
シャツのボタンに手をかけようとしたのを思いっきり掴んではたいたら、先輩が一瞬、痛そうな声を上げた。

手の平に一本の赤い線ができて、ちょっと血が滲んでいる。

「あ…」

綺麗な手。
アートのように美しい体に傷を作ってしまった…殺されちゃうかも…。
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