カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「失礼ですが、お二人はお付き合いをされているんですか?」

穏やかな本郷先輩の声。
よそ行きの口調だ。

その言葉に男性は声を出して笑った。

「違うよ。きょうだいなんだ」

「それは失礼しました」

「ううん、いいんだ。あんまり似てないからね。僕は大学二回生で、姉は二十四歳だよ」

てっきりお兄さんだと思っていた。
女性は小柄で色白。
すごく華奢で、年齢よりもずっと幼く見える。

すごく美人な方なのに今にも消えちゃいそうな儚さの中で、美しい黒髪だけが生命力をみなぎらせているみたいだった。

「仲がよろしいんですね」

「姉には僕がついていないとだめだからね」

「なんでですか?」

聞いた私に、先輩が「分かんないのか?」って言いたげな目をした。

男性はずっとお姉さんを見つめているから先輩の仕草には気づいていない。

そしてなんでもないことのように言った。

「姉は全盲なんだ」

それは「今日って何日ですか」って聞かれて、ただ日にちを答えているだけみたいな口調だった。

「え…そうなんですね。すみません…」

「謝ることじゃないわよ。初対面だもの」
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