カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「自分の常識」だけで生きている自分がつくづく嫌になる。

女性の手元にもベンチのどこにも白い杖が無い。
私はそれだけが目印だと思っていた。

女性は私の顔を見ていなかったのに。
声の方向だけを頼りにこっちを見ただけだった。

自分の視界に映る物だけが正解だと思って、女性のことをよく見ようともせずに決めつけていた自分が恥ずかしかった。

先輩はちゃんと気づいていたんだ。
敵わないな…本当に。

「言っていいのか分かんないけど」

男性が私達を見た。
しっかりと私と本郷先輩の目を見ていた。

「君達の学園に困りごとを相談したらなんでも解決してくれるっていう噂があるのは知ってる?」

「えっ…えぇ、はい。聞いたことあります。相談したことは無いけど…」

「それがね学園内だけじゃなくて外部の人間のことも聞いてくれるらしいんだ。だからさ、興味本位で悩みを投函してみたんだよ。せっかくだから君達にも聞いてみようかな」

「どんなことを書いたんですか?」

「空と雨の色を教えてください、みたいなことを書いたんじゃないかなぁ」

「そんなことお願いしてたのね」

お姉さんがおかしそうに笑った。
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