俺様御曹司は逃がさない
「ひっ!?」


後ろから手が伸びてきて、バンッ!!と勢いよく壁についた。

誰の手?なーんて野暮なことは聞かないで。


「逃げんじゃねーよ。ザコの分際で」


あたしの背後に今、物凄いプレッシャーを放っている奴が居る。

信じない、気にしない、信じない、気にしない……あたしはひたすらボタンを連打し続けた。


「おい」


聞こえない、何も聞こえない……あたしは“ボタン連打世界新記録”を更新する勢いで、ボタンを連打しまくっている。そんな記録があるのかは不明。


「耳までザコになったわけ?お前」


連打しまくっている手をガシッと握られた。あたしの手を包み込めるほどの大きな手。


「はは……はははっ。や、やぁ……九条君。こんなところで会うなんて奇遇だね~」

「さっきまで一緒に居たよねー?俺達」

「君が見ていたのはあたしの“残像”だよ」


バコンッ!!


「いっっーーたぁぁい!!!!」


院内に響き渡るあたしの叫び声。

思いっきり馬鹿力野郎のゲンコツを食らった。きっと頭頂分が陥没しているに違いない。


「で、何がしたいわけ?お前」


頭を抱えてしゃがみ込むあたし。その後ろに突っ立っているであろう九条。

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