俺様御曹司は逃がさない
裸の九条に後ろから抱かれてると思うと、一気に心拍数が上がってアツくなる。


「とろくせぇな」

「ごっ、ごめん!!」

「っ!?急にドタバタ動くな!!」

「ひゃっ!?」


────── いや、何故こうなった……?


あたしが九条の上に乗って、押し倒してるみたいになってる。


「随分と大胆~」

「こっ、これはっ、違くて!!」

「なに、お前……意識してんの?」

「いっ、いや、だからっ、違う!!」

「ふ~ん?そんな顔されながら言われてもね~」


多分、茹でダコ並みに顔が真っ赤だと思う。


「あ、暑いのよ!浴室内が!!」

「へぇ、恥ずかしいわけ?」


意地の悪い聞き方。

それでも……九条の表情はとても柔くて、あたしの頬にそっと触れた手は、嫌になるほど優しかった。


「は、恥ずかしいに決まってるでしょ。いちいち聞かないでよ……九条のバカ」


あたしがそう言うと、九条の瞳が一瞬だけ揺らいだ。

すると、あたしを抱えたままムクッと起き上がって、そのまま立ち上がる九条。

どんだけ馬鹿力なの、こいつ。

向かい合って、無言で見つめ合うあたし達。


「あ、あの……なんでしょうか」

「……無自覚ほど恐ろしいもんはないね」

「は?」

「いや、こっちの話~」

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