俺様御曹司は逃がさない
よかった。ブラック浅倉が解けたみたい。

あたしは今にも消えそうな笑みを浮かべ、美玖と浅倉君に見送られながら氷の魔王(九条)のもとへ向かう。


「お待たせしました~。ご注文ですか~?」

「よぉ。目と耳までクソ馬鹿になったんじゃねーかって心配したわー」

「はは。何を仰いますか」

「つーかお前、日焼け止めちゃんと塗った?」

「は?」

「赤いぞ、背中」

「塗ったけど、一応。てか、それが言いたくて呼んだわけ?」

「柊弥は舞ちゃんのことが心配でならないんだよ。日焼けですら……ね」

「なによそれ。柊弥ってそんなキモい男だったの?」

「お前らは黙っててくれる?つーか、日焼けバカにすんな、普通に痛ぇだろ」


・・・・九条ってこういうことろあるよね。優しくないんだか、優しいのかよく分かんない感じのやつ。


「お心遣い感謝いたします。なら、日焼け止めを塗って参りますので、少々お待ちくださいませ。では」


あたしは2階に上がって、鞄の中をガサゴソ漁った。


「日焼け止め、日焼け止め~っと……あったあった」


日焼け止めを手に取り、立ち上がった時だった。


「貸せよ」


突如、真後ろから聞こえた声に驚いて、ビクッと跳び跳ねたあたし。


「ぎゃっ……ん!?」

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