俺様御曹司は逃がさない
叫びそうになったあたしは、後ろから伸びてきた手に口を塞がれた。


「おいおい、勘弁してくれよ。でけぇ声出すなよ?分かったか?」


コクコク頷くと、パッと離れた手。

振り向くとそこに居たのは……言うまでもなく九条だった。


「あんたねぇ……ここ!!女子部屋!!」

「へぇー」

「『へぇー』じゃないわ!!ていうか、勝手に上がってくんな!!」

「あ?ちゃんと許可取ったけど?ここの管理人に」

「……ああ、そうですか……」

「貸せよ、俺が塗ってやるから」

「は?」

「あ?」


いや、こいつバカなの!?

やっぱ境界線バグってない!?

こういう時に限って、至って真面目っていうか、真剣っていうか、おふざけ一切ないし。

あたしの体に触れることが当たり前で普通です。的な感じになってるのは何故!?

彼女でも友達でもない女の素肌に、なんの抵抗もなく触れられる貴様はなんなんだよ!!

少なからず戸惑ったり、困惑したり、遠慮とかするもんでしょ!!


「いや、自分で塗れるし」

「届かねえだろ。だいたいお前の塗り方雑だし」

「塗れてりゃ何だっていいし」

「まばらになんぞ。つーか、日焼けで痛い思いするのお前な?ちゃっと塗っとけ、馬鹿が」 

「だからっ、あんたバグってない!?」

「あ?なにが?」

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