だって、そう決めたのは私
「暁子も、多分彼も。茉莉花の気持ちを無視することはしないよ。絶対に。だからね、すぐに認める必要もないのよ」
「うん。すぐ、じゃなくてもいいのね」
「そうよ。お友達だって徐々に仲良くなることあるでしょう。それよりも、もっと慎重に進めないといけないことだからね。結婚って。暁子と彼がもしも結婚するならば、彼は茉莉花の家族になるでしょう。だから、慎重に。嫌だったら嫌だって、正直に言っていいんだよ。暁子はそれで怒ったりはしない」

 暁子は絶対に、茉莉花が一番だ。五十嵐くんとの先を見据えたとしても、一番は娘であることには変わらないと思う。そして彼もまた、それを怪訝に思うタイプではない。暁子が大切にしているものは、彼にとっても大切なもの。私が見ている二人は、そういう人達だ。

「そうか……もしママが結婚したら、私にパパが出来るの?」
「ふふ、とっても優しいパパよ。あぁでも……あまり夢や希望は抱かないように」
「何それ」

 茉莉花がようやく、柔らかく笑った。
 よし。今夜は少し時間をかけて、五十嵐くんの株を上げておくことにしよう。彼女の心配の種を潰してしまおう。あの二人が、末永く一緒にいられるように。
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