だって、そう決めたのは私
第61話 シンプルで、真っ直ぐに
「まぁくん、出来たよ」
「ドア開けるなりなんだよ。せめて入ってからにしろ」
「はぁい」
百点を取った子どものように上機嫌だった僕は、少しシュンとする。けれど、本当に少しだけ。その顔を見て、まぁくんも察したのだろう。僅かに微笑んでから、出来たのか、と静かに問うた。
「うん。ようやく」
「頑張ったな」
「うん」
いつものようにカウンターに座ったら、彼はココアを作り始める。今日はクリスマス。街は賑やかで、ここにもクリスマスソングがかかっている。あぁこれは誰の歌だったかな。
夕べはカナちゃんと二人、静かなクリスマスイヴを過ごした。暁子さんに勧められたというノンアルコールと、僕の作った細やかな食事。五十の男女の、ありふれた静かな夜だった。僕は、ずっと渡しそびれていた赤いポーチにハンドクリームを入れた、小さなプレゼントを用意した。腕時計とこれは別物。今までそうしていたのだから、今年も同じように。とても喜んでくれたと思う。彼女もまた、僕と同じようにプレゼントを用意してくれていた。丸い形の寄木細工のコースター。宏海のところはお客さんも来るだろうしって、五枚。とても温かい感じがして、すぐにでも使おうと思っている。一番早いのは、池内くんと佐々木くんが来る時かなぁ。
「何、ニヤニヤしてんだよ。気持ちわりぃな」
「え、ニヤニヤしてた?」
怪訝な顔をして、ココアを出すまぁくん。マスターはそんな顔したらいけないよ、と言えば、もっと嫌な顔をされた。まぁ僕らの関係性なんて、ずっとこんな感じだ。
「ドア開けるなりなんだよ。せめて入ってからにしろ」
「はぁい」
百点を取った子どものように上機嫌だった僕は、少しシュンとする。けれど、本当に少しだけ。その顔を見て、まぁくんも察したのだろう。僅かに微笑んでから、出来たのか、と静かに問うた。
「うん。ようやく」
「頑張ったな」
「うん」
いつものようにカウンターに座ったら、彼はココアを作り始める。今日はクリスマス。街は賑やかで、ここにもクリスマスソングがかかっている。あぁこれは誰の歌だったかな。
夕べはカナちゃんと二人、静かなクリスマスイヴを過ごした。暁子さんに勧められたというノンアルコールと、僕の作った細やかな食事。五十の男女の、ありふれた静かな夜だった。僕は、ずっと渡しそびれていた赤いポーチにハンドクリームを入れた、小さなプレゼントを用意した。腕時計とこれは別物。今までそうしていたのだから、今年も同じように。とても喜んでくれたと思う。彼女もまた、僕と同じようにプレゼントを用意してくれていた。丸い形の寄木細工のコースター。宏海のところはお客さんも来るだろうしって、五枚。とても温かい感じがして、すぐにでも使おうと思っている。一番早いのは、池内くんと佐々木くんが来る時かなぁ。
「何、ニヤニヤしてんだよ。気持ちわりぃな」
「え、ニヤニヤしてた?」
怪訝な顔をして、ココアを出すまぁくん。マスターはそんな顔したらいけないよ、と言えば、もっと嫌な顔をされた。まぁ僕らの関係性なんて、ずっとこんな感じだ。