だって、そう決めたのは私
「何だったんだろうね。怖くて、聞けなかった。でもさ、思いた当たる節はあるんだ。彼女ね、最近、毎晩誰かと連絡取ってて」
「あぁ、以前そう言ってましたね。携帯を見てばかりいるって」
「そう。だからね、きっとその人が、彼女の大事な人なんだって。納得できちゃって。はっきり聞くのが怖くなっちゃったんだよね。情けない」
それしか考えられなくて、それが答えだと思った。少し前まで、ご飯の時に携帯を見るなんてしなかったし。手洗いに行くに持って行くなんて、有り得なかった。もっと早く言えば良かったのか。いや、もう今更だ。
「それが、中川さんの考える原因なんですね?」
「うん。僕が考えつくのはね。当然、彼女のことを全て知ってるわけじゃないけれど」
佐々木くんは顎を揉みながら、そうですか、と呟いた。それから、チラッと携帯に目をやる。「あぁ……すみません、一件電話入れてきてもいいですか」と彼に言われて、ハッとする。彼はもう、年末の休暇だ。実家に帰るとか、友人や恋人と会うとか、予定があるだろう。こんな情けないおじさんのために、貴重な休日を使わせてしまった。どうぞ、と答えたはいいが、実に申し訳ない。店外へ出ていく彼の背に、ガクリと頭を垂れた。
「随分といい子だな」
「うん。イマドキの子だから、初めは緊張したけどさ。もう一人の担当とは、また違う意見をくれたりしてくれて。仕事の面でも、助かってるんだ」
苦笑した僕の前に置かれたココア。いつものように、僕の希望など聞くことはない。今日は暇なのだろう。まぁくんはそれを置いて、佐々木くんが居なくなった席に腰掛けた。
「なぁ、宏海。一つだけいいか」
「うん。何?」
「お前、いつも引きずるだろう。この年になって、同じようになったら、流石にしんどいんじゃねぇかなって思うんだよな」
「まぁね。でも、いつだってしんどかったよ」
「そうか。じゃあ尚更、もう全部きちんとした方がいいよ。しかも、相手はカナコだ。ただでさえ、あんだけ初恋を引きずったんだから」
「分かってるよ……そんなこと」
思わず、力が入った。だって、まぁくんの言う通りだったから。初恋を引きずって、いつまでも泣き言を言い続けた。それを聞かされていたのは、他の誰でもない。幼馴染である彼だ。
「あぁ、以前そう言ってましたね。携帯を見てばかりいるって」
「そう。だからね、きっとその人が、彼女の大事な人なんだって。納得できちゃって。はっきり聞くのが怖くなっちゃったんだよね。情けない」
それしか考えられなくて、それが答えだと思った。少し前まで、ご飯の時に携帯を見るなんてしなかったし。手洗いに行くに持って行くなんて、有り得なかった。もっと早く言えば良かったのか。いや、もう今更だ。
「それが、中川さんの考える原因なんですね?」
「うん。僕が考えつくのはね。当然、彼女のことを全て知ってるわけじゃないけれど」
佐々木くんは顎を揉みながら、そうですか、と呟いた。それから、チラッと携帯に目をやる。「あぁ……すみません、一件電話入れてきてもいいですか」と彼に言われて、ハッとする。彼はもう、年末の休暇だ。実家に帰るとか、友人や恋人と会うとか、予定があるだろう。こんな情けないおじさんのために、貴重な休日を使わせてしまった。どうぞ、と答えたはいいが、実に申し訳ない。店外へ出ていく彼の背に、ガクリと頭を垂れた。
「随分といい子だな」
「うん。イマドキの子だから、初めは緊張したけどさ。もう一人の担当とは、また違う意見をくれたりしてくれて。仕事の面でも、助かってるんだ」
苦笑した僕の前に置かれたココア。いつものように、僕の希望など聞くことはない。今日は暇なのだろう。まぁくんはそれを置いて、佐々木くんが居なくなった席に腰掛けた。
「なぁ、宏海。一つだけいいか」
「うん。何?」
「お前、いつも引きずるだろう。この年になって、同じようになったら、流石にしんどいんじゃねぇかなって思うんだよな」
「まぁね。でも、いつだってしんどかったよ」
「そうか。じゃあ尚更、もう全部きちんとした方がいいよ。しかも、相手はカナコだ。ただでさえ、あんだけ初恋を引きずったんだから」
「分かってるよ……そんなこと」
思わず、力が入った。だって、まぁくんの言う通りだったから。初恋を引きずって、いつまでも泣き言を言い続けた。それを聞かされていたのは、他の誰でもない。幼馴染である彼だ。