極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「雪乃さんはそのような事をする人間ではないのは、彼女が勤める会社の御曹司である私がよく知っています。会社の関係者なら従業員の事を知っていないとだめだと思います。自分もその事を痛感した次第です。それに私は彼女を愛しています」

 玲がきっぱりとそう告げると、彼らは謝罪をしたり、頭を下げてどこかへとはけていったりしていった。玲がふうっと息を吐くと後ろからぱちぱちと拍手する音が聞こえた。

「玲、やるじゃん」
「元気」

 私達の後ろで拍手をしながら歩いてくるのは紺色のスーツに身をまとった元気と、同じく紺色のふんわりとしたドレスを着用した夏子だった。

「すごいじゃん、ちりぢりになってったぜ」
「私も後ろから見ていました。それにしても変な噂流すなんてひどいですね」
「元気さん、夏子さん……」
「あいつもバカだよなあ。てか簡単に引っかかるやつもバカだけどな」

 すると厨房からベテランシェフが現れ、パーティーが始まるので全員集まるように、と私達を立食形式のパーティーが行われる場へと誘導した。
 そこには赤いドレスに身を包む美幸の姿に、黒地に金色の模様があしらわれた着物を着た老い気味の女性と黒いスーツにハットを被った老い気味の男性がいた。おそらくは美幸の両親だろうか。

(あれが、美幸とその家族)

 また美幸に白いスーツを着た若い男性が歩み寄って来た。その様子を見ていたのか、元気が私達に近寄り小声で耳打ちする。

「あれが今の美幸の恋人。議員の息子で秘書をしているらしい」
「へえ。でも浮気してるんだろ?」
「そう。まあ、見てろよ。あいつの顔崩してやるよ」

 そう言って元気は1人、人込みをかき分けるようにしてどこかへと消え去った。夏子は振り返って彼を追いかけようとしたが、見失ってしまった。

「ど、どこに……」
「夏子さん、とりあえずは私達といっしょにいた方が」
「そうですね、雪乃さん……」
< 140 / 146 >

この作品をシェア

pagetop