極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 なら代わりに……。と美幸の恋人に意見を求めようとすると、彼はゆっくりと不気味に美幸の方に近寄る。そして彼女を押し倒したと思えば力の限り殴り始めた。

「なっ! ちょっ痛い! やめて!」
「このっ……このっ! 俺を騙しやがって! このビッチがああああああ!!!!」

 ぼこっぼごっがつっがん……と鈍い音がこだまする。
 私はただただ、立っている事しかできない。客の誰かが警察を呼んだようで、彼は駆けつけてきた警察官によって取り押さえられどこかへと連行されていった。多分連行先は警察署だろう。
 そして警察が来て少し時間がたった頃に救急隊員も駆けつけてきた。美幸の顔はあざだらけ。彼女は気を失っているように見えた。

「……雪乃さん、行きましょう」

 玲の力ない声が私の耳元に降りかかって来た。元気も夏子の肩を抱き寄せ、その場から退席していった。

「……」
 
 会場はいつの間にか、ひんやりとした静かな空気が広がっている。
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