極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
 リビングはとても広いうえに高級感漂う家具があちこちに配置されていた。モノクロカラーを基調としており、中でも黒い革のソファは大きく広々としていてかっこよさも醸し出している。
 またテレビも自宅に置いてある物よりもはるかに大きい。2倍はあるんじゃなかろうか。

「す、すごい……」
「驚かれましたか?」
「いや、自宅のものとは全然違い過ぎて……」
「じきに慣れますよ。ちなみに雪乃さんはどちらに住んでいらっしゃるんですか?」
「実は私、ベリが丘の隣町に住んでます。電車通勤なので」

 私の自宅はベリが丘の隣町にある一軒家でそこで両親と生活している。一応兄もいるのだが、彼は自衛隊員なので家にはほとんどいない。元は祖父母も暮らす実家に住んでいたが、彼らが亡くなってからはだいぶ年季の入った実家を売り払い、父親が新たに土地を購入し一軒家を立てたという経緯がある。
 その自宅から毎日電車に乗って通勤しているのだ。朝の電車も夜の電車も常に満員。座れた事なんてほとんどない。

「そうだったんですね。今度おじゃまさせていただいても?」
「えっ……いいですけどここより狭いですよ?」
「そういうのは全く気にしませんので」
(それならいいけど……)

 玲はリビングの左奥にある大きなキッチンに移動し、巨大な業務用の冷蔵庫を開いて中から食材を出していく。
< 24 / 146 >

この作品をシェア

pagetop