極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「はい、そうなんです」
「残業とか、多いです?」
「はい、最近はもう残業が多くて……」
(すごい、なんで私の仕事わかったんだ)

 まさかセラピストである彼に、私の仕事や残業の多さについて言い当てられるとは思いもしていなかった。それだけ全身の凝りがひどいのだろうか。

「これで全身は終わったので、また下半身を入念にほぐしていきます」
「お願いします」
「ちょっとさっきよりも力入れていきますね」

 ぐっと骨盤付近に重く力がのしかかる。それだけで力が乗った付近の凝りが、岩が割れるかのようにほぐれたような、そんな感覚を覚える。

(さっきより、力が強い)

骨盤周辺を親指でぐっぐっと指圧されていく。さらにオイルを使い、ふくらはぎと太ももを老廃物を押し流すように何度も何度も揉みあげられていく。ぱんぱんに膨らみ重くむくんでいたふくらはぎが、噓のように楽になっていく。太ももも股関節周辺もなんだか凝りがほぐれた気がしてならない。ここまで楽になれるなんて。

(気持ちいい……これなら仕事頑張れそう!)
「はあーー……いい……」
「気持ちいいですか?」
「はい、すっごい気持ちいいです……これなら明日からも仕事頑張れそうです」
(眠くなってきたーー)

 心地よい眠気に身を任せ、私はそのまま目を閉じて眠りについたのだった。
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