極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「えっ、なんで知ってるんですか?」
「雪乃さんが勤務されている会社の社長が私の父親なんです。だから雪乃さんは実は遠目から何度か拝見した事があるんです」

 玲がそう控えめながらもしっかりと私を捉えた目つきで、そう語る。

「あ、もしかして御曹司って事ですか?」
「そう、なるかもですね」
「ま、まじですか……」

 開いた口がふさがらない。たまたま私の施術を担当したセラピストが自分が勤務する会社の社長の息子だったとは……。

「ていうか、なぜセラピストを?」
「あのエステ、うちの親戚が経営しているチェーン店なので、社会勉強も兼ねて働かせてもらってるんです」
「なるほど……例えば?」
「接遇とかですね。本当に勉強になります」
「そうなんですね……」
「あ、朝食いります? もしよかったら、今日は1日ここでゆっくりしていきませんか?」
「えっ、え?」

 おなかがすいたので朝食は欲しい。勿論今日は休みたい。だが、仕事もあるしそんなわがまま言っていいのか否か。

「えっと、わがまま言っていいんですかね?」
「時々なら自分に対してわがままになっても良いと思いますよ? 無理のし過ぎは良くありません」
「ですよね!! では、お願いします!」

 気が付いたら秒で即決していた。にこっと笑う玲の笑顔が温かくてまぶしい。
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