極上溺愛契約婚で甘やかされて~エステで出会ったセラピストは御曹司でした~
「夏子、もう1つってあれだよな……?」
「はい、古田美幸って人……あの人には会いたく無かったんですが」
(やっぱり!)
「あの人が何かしたんですか?」

 玲の問いに対して夏子は顔をわなわなと震わせながら口をゆっくりと開く。

「私の恋人を寝取ったんです……!」
「っ!」
「高校生の時もそう! 大学生の時だって! 許せない許せない! それに寝取った癖にお金を絞り尽くしたらすぐ捨てる! 人として最低ですよ……!」

 夏子の恨みと悲しさが混ざった声がモノトーンカラーに彩られたラウンジ中にこだました。夏子の目には涙が溢れていた。そんな夏子の前に元気が立ち、私達にきっと真剣な眼差しを向ける。

「玲。雪乃さん。俺はあいつを許せねえ。俺達は幸せによろしくやってるってあいつに見せつけてやりたくてあいつの予定に敢えて合わせて今日パーティーを開いたんだ」
「……元気。私と同じだな」

 ふふっと笑う玲。もしかして私との契約関係を暴露するつもりなのだろうか?

「私もあの女に見せつけてやりたくて、雪乃さんと結婚し一緒に来ました」
「へえ……俺と考えてる事は同じって訳か」

 玲の話を聞いた元気はにやりと笑った。口角を釣り上げたその笑みは悪人が見せるような、そんな感じだ。

「みたいだな、元気」
「ははっ……なるほどね」

 ここで個室の扉を叩く音が聞こえた。元気がはーーいと返事をしながら扉を開くと女性のウェイターが白いカートを押してやってきていた。

「お食事お持ちしました。あと、パーティーどうしましょうか? このままお開きになるのかとお客様から……」
「ああ、すみませんが食事を終えた方々からお開きにしてください。俺達はしばらくここにいます」
「かしこまりました」

 元気からそれぞれ料理の乗ったプレートとお箸を貰いウェイターが退出していくのを見届けてから話は再開する。

「とりあえず俺はあいつを懲らしめてやりたい。夏子もそうだろ?」
「う、うん……!」
「……私もです。あの女には私達も被害を被っていますからね」
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