政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「俺のそばで幸せになれ、明花」
これまでの痛みごと包み込むような、優しくてとても穏やかな貴俊の笑みに、冷え切っていた心がぬくもりを取り戻す感覚がする。
じわりじわり。焚火にあたっているみたいにほっとするあたたかさだ。
「……はい、そうさせてください。貴俊さんと一緒に」
視界が急に開けたような気がした。
明るくて、希望に満ちた世界が、きっとこの先に。
明日の自分さえ保証されていなかった幼い頃の自分に教えてあげたい。大きくなったら、とっても素敵な人があなたを迎えにくるからと。だから泣かないでと。
明花は生まれて初めて、心の底から湧き上がるような喜びを感じていた。