政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

明花の腰を引き寄せ、貴俊がじっと見下ろす。揺れた瞳が心理を探りにかかった。

なにもないと言っても、たぶん貴俊は納得しない。
先週末、明花が体調を崩したときもそう。取るに足らない微熱に先に気づいたのも、明花自身でなく貴俊だった。

ほんの少しの変化を決して見過ごさない繊細な観察眼には、どうにも太刀打ちができないのだ。


「おいで」


貴俊はそのまま明花の手を引っ張ってソファに座らせた。
事実を話さない限り、逃れられない優しい尋問がはじまる。


「なにがあった?」


隣に座った貴俊の声はあくまでも穏やかだ。なのに答えをうやむやにできない強さがあり、明花は黙ったままではいられなくなる。


「今日、義母と義姉がここへ来たんです」


そう言った途端、彼の周りを不穏な空気が包み込んだ。
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