政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「なにをしに?」
彼女たちに言われたことを伝えたら、貴俊は〝それはもっともな意見だ〟と言わないだろうか。桜羽グループにとって明花はマイナス材料でしかないと、結婚を後悔しないだろうか。
彼女たちに言い返せても、手に入れたはずの自信は大きく揺らいでいた。
でも今さら貴俊の目は誤魔化せない。好都合な理由も思い浮かばなかった。
「じつは義母と義姉とはあまりうまくいっていなくて……」
〝あまり〟どころか〝かなり〟なのに、やんわりとぼかす。愛人の子どもと承知のうえの貴俊にも、そこまでは打ち明けていなかった。必要以上にかわいそうに思ってもらいたくなかったから。
驚く様子がないところを見ると、貴俊にも三人の関係性は想像がついていたのかもしれない。
「それでなんて?」
「……貴俊さんと離婚しなさいって」
「は?」
貴俊は眉間に深い皺を寄せ、険しい顔をした。