政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

彼の力強い言葉ひとつで、ついさっきまで揺らいでいた気持ちが落ち着きを取り戻していくのがわかる。貴俊の存在はとても偉大だ。


「ごめんなさい」
「なぜ謝る」
「そう言ってほしくて落ち込んだふりをしました」


そんな冗談を言えるのだから、回復度合いは上々だ。


「こらこら」


貴俊は、頭をコツンと軽く小突く手までぬくもりを感じさせる。


「とか言いつつ、強がりなのは知ってる。これまでもそうやって我慢してきたんだろうな」


簡単に明花の心の動きを読んでしまうから怖い。


「貴俊さんはどうしてそんなに優しいんですか?」


その優しさは明花が申し訳なくなるほど。出会ってからこれまで、どれだけ救われたかわからない。
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