政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「私もそれにしようかな」
「じゃあオーダーしますね。すみませーん」


万智が手を上げてスタッフを呼ぶ。オーガニックのアッサムティーもふたり分注文した。
走って喉が渇いていたのか、出された水を一気に飲み干してから万智が唐突に謝る。


「明花さん、ごめんなさい。さっき私たち嫌な感じでしたよね?」
「あ、ううん。なんとなく想像はつくから」


嫌な感じを受けたのは万智たちのせいではない。


「え? 想像?」
「私を誹謗中傷するものが届いたんじゃないかなって」
「……じつはそうなんです。隆子さんと、どうしようかって言ってて」


つい先ほどスタッフを呼んだ声と同じ人とは思えないほど、万智は声のトーンを落とした。


「義姉の婚約者を奪ったって書かれていたんじゃない?」


万智が目を真ん丸にする。やはり当たったようだ。
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