政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「ごめんね、ふたりを嫌な気持ちにさせて。私、辞めようと思ってるの」
「ちょっ、なにを言ってるんですか!」


声を荒げた万智に店内の視線が集中する。それでも万智はかまわずに続けた。


「どうして明花さんが辞める話になるんですか! そんな必要ありませんから!」
「だけどさっき……」


隆子と万智は、いかにも明花への対応に困っている様子だった。


「誤解なんです。隆子さんと、これは明花さんには見せないほうがいいねって話しているところだったんです。そこへ明花さんが帰ってきたから焦ってあんな反応になっちゃって。このままだと明花さんが誤解するだろうから、やっぱり本当のことを話そうって隆子さんと相談して決めて、それで明花さんを追いかけてきたんです。ぐずぐずしてたからもう少しで見失うところでした」


想像とはまるで逆。今度は明花が目を丸くする番だった。
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