政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「キミの同僚の万智さんから会社のほうに連絡をもらったんだ」
「万智ちゃんから?」


どうして?と疑問符が頭の中に並んだあと、ハッとする。

(もしかして、あの件を心配して貴俊さんに連絡を……?)

お昼ご飯をふたりで食べて事務所に戻ったあと、義母姉からの中傷の件は隆子とも話している。隆子も万智同様に明花を気遣ってくれ、なにも気にせず働いてほしいと言われた。
その後、明花の知らないところで連絡を入れていたみたいだ。


「片野不動産に嫌がらせがあったそうだな。明花がすごく傷ついてるから、迎えに来てあげてほしいと万智さんから」
「万智ちゃんがそんなことを……」


元気づけてくれただけでなく、明花に気づかれないように根回しまでしてくれていたとは。


「平気そうにしていたけど、平気なわけはないとね。心根が優しい子だな」


万智に対して、明花と同じように貴俊にも感じてもらえるのがうれしい。
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