政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「はい、万智ちゃんは本当に素敵な子で。私をものすごく気遣って励ましてくれたんです」


片野不動産で働けて、つくづくよかったと思う。


「それに、こうして貴俊さんが駆けつけてくれたのもうれしい」
「明花のピンチに駆けつけるのはあたり前だ」


車が赤信号で止まると、貴俊は明花の手に自分の手を重ねた。あたたかくてほっとする。



「明花の義理の家族のことは心配いらない」
「ありがとうございます」


車は快調にケヤキ並木を抜けていく。世界のブランドショップが軒を連ね、洗練された街並みは雨に濡れても美しい。

しばらくすると、貴俊はアールデコ調の建物の前でスピードを落とした。

裏にある駐車場に車を止め、再び相合傘で店の入口を目指す。ドアを開けて中に入ると、出迎えた黒服の男性スタッフは貴俊の顔を見てハッとしたようにした。
よく使う店なのか、顔を認識しているみたいだ。
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