政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
男性は居住まいを正し、恭しく頭を下げた。
予約も済ませていたらしく、明花たちは個室に案内された。
ドアがないため半個室のような造りは、閉塞感がなくていい。明るさを抑えた店内には西洋の美術工芸品が飾られ、気品溢れる空間だ。とても静かで息をひそめたくなる。
個室には小さいながらもカウンターがあった。
「今夜は極上の串揚げを食べよう」
貴俊によれば、厳しく管理された牧場で飼育された最高ランクの神戸牛やオーガニック野菜を揚げて食べさせてくれるのだとか。ひまわり油を100%使用しているためヘルシーだというからうれしい。
貴俊と並んで座ってすぐ、グラスにノンアルコールのスパークリングワインが注がれる。乾杯して喉を潤していると、背高コック帽のシェフが現れた。
「本日の調理は私が担当させていただきます」
「よろしくお願いします」
貴俊と揃って頭を下げる。挨拶のあと、シェフは食材の中からナスを選んだ。