政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

照美が雪平ハウジングから得た役員報酬でレストランを経営しているのは父から聞いていたが、明花は詳細を知らなかった。


「存じ上げております。人気店のようですね」


抑揚がなく褒めているように聞こえないが、その言葉にも驚かされる。

(貴俊さんは知っていたの……? 承知の上で私を連れてきたのはどうして)

単においしい串揚げを食べようと思ったからなのか、人気店だから一度は足を運んでおこうと考えたからなのか。
貴俊の考えが読めず、四人を包む複雑な空気が心細い。


「天下の桜羽ホールディングスの次期社長の覚えがめでたいなんて、こんな光栄なことはございませんわ」
「ほんとね。お母さん、すごいわ」


ふたりで手に手を取り合う。


「ここでこうしてお会いできたのも縁ですし、桜羽さんには一度お話ししておきたいことがあるんです」
「それなら今、私からもお伝えしたところなのよ」
「そうだったの。それなら話は早いわ」
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