政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
「お騒がせして申し訳ありません」
貴俊がどんな女性を選んだのか、あちらこちらで噂したくなる気持ちはわかる。
「明花が謝罪する必要がどこにある?」
「その通りでございます。それにいい意味で、でございますので」
「……いい意味で?」
首を傾げてふたりを交互に見る。
「想像以上に素敵な女性だと、みな口々に言っております」
「そうか、それは失敗した」
貴俊は顎に手を添え眉間に皺を寄せるが、明花にはなにがどう失敗なのかわからない。
「明花の美しさは俺ひとりがわかっていればよかったのに。痛恨のミスだな」
思わず顔を見合わせた糸井がふっと鼻から息を漏らす。堪えきれず笑ってしまった感じだ。
「副社長がそんなに独占欲の強いお方だとは知りませんでした」