政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「泣きながら地面に絵を描いてくれたよ」
「そうでしたか……」
「ふたりで初めて迎えるクリスマスには、絶対にこれをプレゼントしようと決めていたんだ」


貴俊は優しく笑った。
想像もしていないサプライズが、明花の胸を熱くする。

こんな形で〝みっちゃん〟が帰ってくるなど、誰が予想できるだろうか。

あのとき義母に無慈悲に捨てられたぬいぐるみが、母のあたたかい思い出と一緒に今、明花のもとに帰ってきた。


「うれしい」


クマを抱きしめ、顔を埋める。
これほどうれしいクリスマスプレゼントはほかにない。


「貴俊さん、ありがとう」
「喜んでもらえて俺もうれしいよ」


貴俊は明花をぬいぐるみごと抱きしめた。
これ上ないぬくもりに包まれ、幸せを噛みしめる。
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