私が一番あなたの傍に…
「やべ。もう電車が来るぞ」

急がないと間に合わない。これはもう少し歩くスピードを上げた方が良さそうだ。

「ちょっと歩くスピードを上げますか」

「そうだな。そうしよう」

駅までスピードを上げて歩いた。なんとかギリギリ間に合った。

「良かった…。間に合った」

「だな。本当に間に合って良かった」

これを逃しても十分に一本出ているので拘る必要はなかったが、十分駅のホームで待つのが嫌だったので、急いでここまでやって来た。

「そうだね。もう電車が来るね」

電車がもうすぐやって来るアナウンスが鳴った。
電車が来ると分かると、ホームで待つ人々は整列し始める。乗り遅れないように。
私達も列に並んだ。ちゃんと順番を守って乗る。
ワクワクしながら電車を待った。ゆっくりと電車は停まり、扉が開いた瞬間、まず先に乗っていた人が降車し、待っている私達が後から乗車した。
車内は運良く空いており、席に座れた。
扉が閉まるアナウンスと音楽が鳴り、扉が閉まった。
ゆっくりと発進していく。心地良い揺れに若干、眠気が襲う。隣に愁が座っているので、安心して寝てしまいそうだ。

「幸奈、眠いの?」

既にバレていた。さすがに隣街なので、次の駅で降りるので寝てはいられない。

「うん。実は…。でも次だからさすがに起きてるよ」

「そっか。少し距離があるから寝てても大丈夫だぞ」

そっと私の頭に愁の手が触れた。その手が優しくて。私の胸に温かい気持ちが込み上げてきて。愁の優しさに包まれているなと感じた。

「お気持ちありがと。でももうすぐ着くから起きてるね」
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