私が一番あなたの傍に…
「うーん…。私は他にほしいものがないや。愁はある?」

私が問いかけると、愁は即座に答えてくれた。

「そうだな。俺は箸が欲しいかな。自分達が食べる用にもだけど、料理する時に使う菜箸も欲しい」

盲点だった。箸がなければせっかく美味しい料理を作っても食べることができないし、料理をすることもできない。
こういった見落としがちなことに、愁は気づいてくれるので正直助かる。帰る前に気づいてくれてよかった。新しいお皿に新しいコップ、新しい箸で今日から食事ができる。

「箸…忘れてた。愁、気づいてくれてありがとう」

「お礼を言われる程のことでもないけど、そう言ってもらえて嬉しい」

些細なことであっても、こうやってお互いに支え合っていきたい。
お互いにないものを補い合っていけるように、常に相手のことを思いやれる心を忘れずに。

「いつも愁は見落としがちな些細なことに気づいてくれるから助かってるよ」

「そう言ってもらえて何よりです。俺もいつも幸奈の優しさに救われてるよ」

お互いにちゃんとお互いを見ている。
この先も変わらずにちゃんとお互いのことを見つめ合っていけたらいいなと思う。

「こちらこそそう言ってもらえて嬉しい。…なんかこうやってお互いに感謝を述べ合えるのって素敵だね」

“ありがとう”と“ごめんね”…を言える人でありたい。
それをお互いに自然に心から素直に言える。この関係性がとても素敵だなと感心した。

「そうだな。素敵なことだな」

これからも大事にしていきたい。大切なことを見失わないように心がけていこうと思う。

「これからも引き続き大事にしていこう」

「うん。俺も大事にする」

大事なことを再確認できた。
私達ならこれから先も大事なことを見失うことはない。そう思えた。
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