私が一番あなたの傍に…
本当か嘘かは分からない。愁は優しいから、私に話を合わせてくれただけかもしれない。
それでも、私の恥ずかしい話に合わせてくれたことが嬉しかった。

「愁も寝ちゃったの?そうだったんだ。起こしてくれてありがとう」

私に気を遣って、家に着くまで寝かせてくれた心遣いに、私は感謝の気持ちを伝えた。
それが伝わっているといいな。愁ならちゃんと伝わっていると思う。今の私達にすれ違いはないから。

「幸奈の寝息聞いてたらつい…。俺は人の体温が眠気を誘うかも。それが安心材料だなって思う」

それは私も右に同じだ。相手が愁だから、安心して隣で眠れる。

「私も同じかも。愁の体温が心地良くて。気がついたら、眠りに落ちてたから」

「本当?それは嬉しい」

再びそっと手を繋いできた。愁は感情をボディタッチで伝えてくるタイプだということが、段々一緒に居るうちに分かってきた。
私もなるべく同じように表現し、愁に気持ちを伝えるようにしている。自分がされて嬉しいから。愁も喜んでくれたら嬉しいなと思って。

「うん。私も嬉しい」

こそばゆい気持ちもあるが、そんな気持ちより今は愁と手を繋いでいたい。
その気持ちを優先し、私は実家まで愁と手を繋いで歩いた。


           *


駅から徒歩で実家まで帰った。もちろん手を繋ぎながら。
そう遠くないので、数分歩いただけで実家に着いた。玄関の前に着いただけで、急に緊張感が増してきた…。
恐る恐るインターフォンを鳴らした。すると、すぐに応じてくれた。
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