私の可愛い(?)執事くん
・
浅田と伊吹は逆方向で帰って行った。
「三上さんは?迎え来るの?」
「いや、歩いて10分くらいだし歩いて帰るよ」
「1人で?」
「うん、大丈夫でしょ」
「いや、ダメでしょ。何かあってからじゃ遅いし
送ってくよ」
「え、でも暁、帰り遅くなる」
「大丈夫だよ。行こう」
「ありがと」
(優しさだけで他意はないと思う。
でも期待してしまう)
車道側を歩く暁は私の視線に気づいていない。
(さっきのはたまたまか)
「暁ってさ」
「ん?」
「やっぱり星宮?」
「うん、第一志望は星宮」
「そっか」
「三上さんは?星宮?」
「私に星宮は無理だよ。受かればほのかと同じ
ところ」
「そっか、お互い頑張ろうね」
「うん」
しばらく歩くと視界に白いものがちらつく。
「雪だ。どうりで寒いはずだ。
傘持ってる?」
「うん」
お互い荷物から折り畳み傘を出して差す。
「ホワイトクリスマスだな」
「そうだね。三上さんはこの後家族とお祝い
するの?」
「別にしないかな」
「そうなんだ。俺のところも特になにもしないかな」
話しているともう家の前。
「送ってくれてありがとう」
「どういたしまして。あ、そうだ。
メリークリスマス。さっき言えばよかった」
はにかむ表情に胸が高鳴る。
「じゃあね、また新学期。風邪ひかないように早く
入ってね」
背を向ける暁の腕を掴む。
「三上さん?どうしたの?」
「好き」
(止められない。我慢できない)
「え、」
きっと知らない部分はたくさんある。
私が知っているのはほんの一角。
これから知っていきたい。
「ずっと前から暁のことが好き。
私と付き合ってください」
瞳が行ったり来たり、最後に伏せた。
「ごめんなさい、他に好きな人がいるんだ。
だから三上さんの気持ちには答えられない」
何度も自分の中で繰り返す。
そして振られた事を理解した。
「そ、っか。」
次の言葉が見つからない。
「三上さんとはこれからも友達でいたいって
思ってる。伝えてくれてありがとう」
悲しそうな、困ったような顔で笑う。
(優しいから断るのも勇気がいるんだ。
そんな顔させたかったわけじゃないのに。
気負わせてごめん)
離れていく暁の背中が滲む。
ぼんやりとして気がついたら自分の部屋。
ほのかと雪乃のグループチャットを開く。
「告白したけどフラれた」
2人から驚きと誰にも言わないという文章。
「もしかして、修学旅行の時にお似合いって
言われたから?」
チラッとこっちを見るスタンプと共に送る雪乃。
「多分ね、でも好きになったのは本当だから」
2人にはこう言ったけど、好きになったきっかけは
あの時。
ー袖、どこかに引っ掛けたの?ー
ーよかったら直そうか?ー
スマホに落ちた水滴を袖で拭った。
「三上さんは?迎え来るの?」
「いや、歩いて10分くらいだし歩いて帰るよ」
「1人で?」
「うん、大丈夫でしょ」
「いや、ダメでしょ。何かあってからじゃ遅いし
送ってくよ」
「え、でも暁、帰り遅くなる」
「大丈夫だよ。行こう」
「ありがと」
(優しさだけで他意はないと思う。
でも期待してしまう)
車道側を歩く暁は私の視線に気づいていない。
(さっきのはたまたまか)
「暁ってさ」
「ん?」
「やっぱり星宮?」
「うん、第一志望は星宮」
「そっか」
「三上さんは?星宮?」
「私に星宮は無理だよ。受かればほのかと同じ
ところ」
「そっか、お互い頑張ろうね」
「うん」
しばらく歩くと視界に白いものがちらつく。
「雪だ。どうりで寒いはずだ。
傘持ってる?」
「うん」
お互い荷物から折り畳み傘を出して差す。
「ホワイトクリスマスだな」
「そうだね。三上さんはこの後家族とお祝い
するの?」
「別にしないかな」
「そうなんだ。俺のところも特になにもしないかな」
話しているともう家の前。
「送ってくれてありがとう」
「どういたしまして。あ、そうだ。
メリークリスマス。さっき言えばよかった」
はにかむ表情に胸が高鳴る。
「じゃあね、また新学期。風邪ひかないように早く
入ってね」
背を向ける暁の腕を掴む。
「三上さん?どうしたの?」
「好き」
(止められない。我慢できない)
「え、」
きっと知らない部分はたくさんある。
私が知っているのはほんの一角。
これから知っていきたい。
「ずっと前から暁のことが好き。
私と付き合ってください」
瞳が行ったり来たり、最後に伏せた。
「ごめんなさい、他に好きな人がいるんだ。
だから三上さんの気持ちには答えられない」
何度も自分の中で繰り返す。
そして振られた事を理解した。
「そ、っか。」
次の言葉が見つからない。
「三上さんとはこれからも友達でいたいって
思ってる。伝えてくれてありがとう」
悲しそうな、困ったような顔で笑う。
(優しいから断るのも勇気がいるんだ。
そんな顔させたかったわけじゃないのに。
気負わせてごめん)
離れていく暁の背中が滲む。
ぼんやりとして気がついたら自分の部屋。
ほのかと雪乃のグループチャットを開く。
「告白したけどフラれた」
2人から驚きと誰にも言わないという文章。
「もしかして、修学旅行の時にお似合いって
言われたから?」
チラッとこっちを見るスタンプと共に送る雪乃。
「多分ね、でも好きになったのは本当だから」
2人にはこう言ったけど、好きになったきっかけは
あの時。
ー袖、どこかに引っ掛けたの?ー
ーよかったら直そうか?ー
スマホに落ちた水滴を袖で拭った。