松之木学園♥生徒会執行部
「無事で良かったな」
「うん」
「しかし、なんでピーコが飼育小屋に?」
傍に戻ってきた澤田君が不思議そうに首を傾げる。
そう。問題はそこだ。どうしてココにピーコが?飼育小屋の鍵は閉まっているし、ピーコは普段生徒会室の鳥かごの中に居る。
生徒会室は夕方まで鍵が掛かっているし、飼育小屋の掃除をするのは昼。万が一、窓が開けっ放しになっていたとしても、ピーコは基本的に臆病だから1人で外に出たりしない。それこそ私が一緒に居るときにしか。
だからこそ自らココに来て閉じ込められた可能性は薄い。誰かが連れてきて閉じ込めたとしか思えない。
「生徒会室の鍵は掛かってたよね?」
「そうだね。俺が開けたから、そこは間違いないよ」
不思議そうに小春と理央が言う。騒ぎを聞きつけたらしい鈴花と雄大も来て、皆、不思議そうにしていた。しかし、犯人は直ぐに判明する。
「あれー?もう外に出しちゃったのかぁ〜。つまんねー」
良く言えば剽軽、悪く言えばバカっぽい声をあげながら、ツンツン頭のヤンキーがゴミ置き場の裏からひょっこり顔を出す。ツンキーだ。途端に澤田君の目が据わる。
「……お前がやったのかよ」
「ああん?」
「お前が犯人かって聞いてんだけど」
「そうだ。これで俺の凄さも分かったし、少しは懲りただろ。バカ女も」
鬼のように不機嫌そうな澤田君を更に煽るようにケラケラと笑うツンキー。肩に乗っていたピーコが、怒り狂ったように羽をバサバサと羽ばたかせてギャーギャー騒いでいる。
透かさず澤田君がツンキーのところへ飛んで行きそうになったから今度は私が羽交い絞めにして止めた。ここで挑発に乗ったらツンキーの思うつぼ。それは避けたい。
「ピーコォー!だって。ビービー泣いててマジでウケたわぁ。ザマァ」
「最低……」
「食われりゃ良かったのに」
「うるせぇ。ゴミ」
「あーそ。だから何だぁ?何とでも言えや」
「クズ」
「カス」
「チビ」
「ツンツン頭」
「あ?」
何とでも言え、と言ったくせにツンキーは髪のことを指摘した鈴花を睨む。そこはやっぱり気にしているらしい。髪を押さえて眉間に皺を寄せている。だったら髪型を変えろって話だが彼は一向に変えようとはしない。今日も今日とて相変わらずのツンツン頭。
「元はと言えばお前が悪いんだろ!面白おかしく澤田と俺の噂を流しやがって!」
「それはもう、そっくりそのまま返します」
「そうだよ。元はと言えば変な噂を流したり、菜々に手を出そうとした、そっちが悪いと思う」
怒るツンキーに雄大と鈴花がサラリとごもっともな意見を返す。きっと一連のこれは悪役ツンキーとして定着してしまったことに対する反抗だろう。しかし、更に悪役度を上げてどうする。