松之木学園♥生徒会執行部
『緊急会議』
「マズイことになったね」
どんよりと重たい空気が漂う生徒会室。いつもと同じく皆が長机を囲み、その中心に座った理央が肘をつきながら暗い顔付きで溜め息を吐く。
夏休み中で学校は休みだが、不測の事態が起きたため全員が集まり緊急会議を行うことになった。題材は勿論、澤田君についてだ。
「どうなるかな?」
「少なくとも停学は確定だね」
「相手だって悪いのに?」
「そうは言っても怪我だってさせちゃったし」
不安そうに尋ねた颯に理央が憂鬱そうに答える。
ツンキーはあの日、澤田君から殴られた所為で腕の骨にヒビが入ってしまったらしい。しかも一方的にボコボコにやってしまったものだから尚更、澤田君への処分は重くなるみたいだ。だから今日もこの場に居ない。
処遇が決まるまで自宅謹慎でその後は登校停学になる可能性が高いだろうとのことだった。
「しかも元々、素行が悪かったからね。ただの停学じゃなく無期限になる可能性が高い」
「そうなると厳しいですね。出席日数もギリギリでしたし」
「そう。補習だけじゃ補えない」
「留年、確定ですか?」
「そうなるくらいなら転校させる、っていうのが澤田君の親からの返答」
「……校長の泣く姿が目に浮かびます」
事情を話す理央に雄大が欝々しく視線を落とす。
そうだ。澤田君一人だけの問題じゃなく私たちの目標と校長の野望もこれにてジ・エンドになりかけている。
澤田君が転校してしまったら確実に寄付金は貰えなくなるし。行事だってしょぼくなり、一旦は廃止された恋愛禁止の校則だって復活してしまうかも知れない。
つまり学園中の生徒がつまらない学校生活を送るはめになろうとしている。ツンキーただ一人の手によって。