松之木学園♥生徒会執行部
「よし。じゃあ、鍵を閉めた証拠も押さえたことだし。そろそろ本番に移ろうか」
理央から突撃の合図が入る。待ってましたと言わんばかりに私、小春、鈴花の三人は階段から廊下へ飛び出した。
その後ろで颯がカメラを隠して出てくる。雄大は未だ物陰で撮影中。理央もモニターの前。準備は万端だ。
「あれー?おかしいなー。慶彦が居ないぞ〜」
ツンキーの口調を真似ながら理科室の鍵を指でクルクルと回し、二人の傍に近づいていく。成敗してやるぞ、ツンキー!と無駄にハイテンション。
「はぁ?お前らどっか行けって」
「なんで?」
「面倒くさいから」
私たちに気付いたツンキーは物凄く嫌そうに顔を顰める。視線を落として“しっしっ”と手だけで追い払ってきた。箒で埃でも払うように。
「面倒くさいとは?この鍵のことについて聞かれたくないからかね?」
「知らねーし、そんな鍵。話し掛けてくんなや」
焦ったように声を震わせながらツンキーは必死な形相で私たちを追い払おうとする。
本気でこの場から消えて欲しくてしょうがないんだろう。鬼でも見たような顔だ。豆があったら今頃絶対ぶつけられてる。
しかし、残念だツンキー。私たちは退きはしない。
「これはね、理科室の鍵なんですよ」
「だから何だよ!早く消えろ」
「いいんですか?消えちゃって。中は暑いし、水もない。早く開けてあげた方がいいのでは?」
「知らねぇし。意味わかんねぇ」
焦ったように口調を荒げながら、ツンキーは香織ちゃんに「行こ」と言って逃げようとする。
ちゃっかり香織ちゃんを連れて行こうとしているところが絶妙にせこい。