清くて正しい社内恋愛のすすめ
「は、はじめまして。久留島穂乃莉です」

 穂乃莉は、背の高い東雲の手に軽く触れるように握手をする。

「久留島社長には、以前何度かご挨拶させていただいたことがあります。目に入れても痛くない程、可愛がっているお孫さんがいらっしゃると、おっしゃっていましたが……」

 すると東雲は笑顔で顔を覗き込ませる。

「は、はい……。私です」

 穂乃莉はドギマギしながら手を引っ込めると、慌てて名刺をケースから取り出し、東雲に手渡した。

 東雲は穂乃莉と相田の名刺を受取ると、大島に声をかけられてソファへと移動する。


 穂乃莉はソファに腰かけながら、そっと正面の東雲に目をやった。

 東雲は驚くほど美形で、色白の肌と相まって、まるでおとぎ話の世界から出てきた王子様のようだ。

 なんとなく雰囲気は加賀見に通じるものがあるが、加賀見が腹黒王子なら、こちらは正統派王子といったところか。

 年齢は穂乃莉よりも少し上か、相田と同じくらいに見える。

 まさか東雲グループのトップが、こんなに若い男性だとは知らなかった。
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