清くて正しい社内恋愛のすすめ
「では、課長、お先に失礼しまぁす」

「あぁ、お疲れ」

 花音はスキップでもする様に、玲子と卓を追いかけていった。


 急に静かになったフロアで、穂乃莉ははっと我に返ると辺りを見渡した。

 いつの間にか定時を過ぎていたようで、フロアにはまばらな人しか残っていない。

 斜め前の席に目をやるが、加賀見の姿もなかった。


 ――そっか、午後も取引先巡りして、直帰するって言ってたっけ。


 自分はどれだけ集中してパソコンに向かっていたのだろう。

 途中、ちょくちょく入る電話には、それなりに対応していた気はするが……。


 穂乃莉は両手を上にあげて思いっきり伸びをする。

「年明け早々、飛ばしてるな」

 すると後ろから穏やかな声が聞こえ、振り返ると相田がミルクティーの缶を持って立っていた。

「か、課長」

 穂乃莉は慌てて姿勢を正すと、長い髪を耳にかける。

「今、企画書にみんなの案を落とし込んでて」

「東雲の企画書か?」
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