清くて正しい社内恋愛のすすめ
「先方の営業部のアポは取れてるらしいから、二人で仲良く落として来いよ」

 相田はまるで揶揄(からか)うようにそう言うと、「じゃあ、お先―」と笑顔で出て行った。

「お、お疲れ様です!」

 穂乃莉は相田の後姿に声をかけてから、慌ててパソコンに向き直る。


「出張申請したなんて、加賀見言ってなかったのに……」

 マウスを操作してすぐに社内システムに接続する。

 いくつかページをクリックしていくと、加賀見が昼過ぎに出した出張申請は、ちゃんと穂乃莉も宛先に入って送られていた。

 今日は打ち合わせの後、ずっと企画書の作成をしていたから、加賀見が申請を出したことにも全く気がついていなかったのだ。


 穂乃莉はデスクに置いているカレンダーを片手に、出張日程のスケジュールを確認して小さく声を上げる。

「え!? 一週間後!?」

 いくら時間がないとはいえ、そんな急なスケジュールで加賀見は出張を設定していたのか。

 期待と不安が入り混じったような、複雑な色が穂乃莉を包み込む。
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