左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
「お嬢さんがた、お困りかい?」
 にやにやと笑う男に声をかけられ、フェデリーカは顔を険しくした。
 街の人と風体が違っていた。服を着崩し、無精ひげを生やしている。
「連れが戻りませんで」
 キアーラが答える。

「さっきあっちで見たな。連れてってやるよ」
「ありがとうございます!」
 キアーラは喜んで答える。護衛の不在が不安だったのだろう、声に安堵があった。

「ダメよ」
 フェデリーカは止める。護衛は離れて着いて来ていた。連れと言われて知っているのは不自然だ。

「こっちだよ」
 歩き出した男に、キアーラはついていってしまう。
「ダメだってば!」
 フェデリーカは慌てて追いかけた。
 男は狭い路地にキアーラを連れて行く。
 薄暗くひと気のないそこに、フェデリーカはぞっとした。

「どこにいるのですか?」
「どこだったかなあ」
 男はにやにやと笑う。
 さすがにキアーラもおかしいと気付いたが、遅かった。すでに三人の男に囲まれていた。

「帰ります。通して」
 フェデリーカは気丈に言った。
「高そうな服だなあ。さぞかしいいところのお嬢さんだろう」
 男が伸ばした手を払いのけ、キッとにらむ。額に傷痕のある男がにやにやと笑った。
「服もあんたも、高く売れそうだ」
 フェデリーカはちらりとキアーラを見た。彼女は恐怖のためか声もない。

 私がなんとかしないと。
 フェデリーカは男たちを冷静に見回した。

 男は三人。非力な自分が彼らをどうにかするには。
 地面を見る。路地は石畳もなく剥き出しだ。

 フェデリーカはそっと地面に手を向けた。
 男の一人が一歩を踏み出したとき、いっきに力を解放する。
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