左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
キアーラとともに地味な服を着て街に降りた。お忍びだから、護衛が二人、遠巻きについてくる。
目的のお店は屋台だった。
二人の男性が火魔法と風魔法を分担してわたあめを作っていた。材料は砂糖だけと聞いて驚いた。
白いふわふわのそれを、キアーラと二人で食べる。
「甘い、ふわふわ!」
フェデリーカは大喜びで食べる。少しべたつくのが気になるが、それよりも触感が新しくて夢中になった。口の中でじんわりふんわり溶けていくのもまた楽しい。
「護衛にも食べさせてあげたいな」
「仕事中はダメなんですよ」
キアーラに止められ、フェデリーカは口を尖らせた。
「子供っぽいことはおやめください」
「はーい」
フェデリーカはやる気なく答えた。
ふと見ると、手から水を出してアーチを作ったり虹を出したりしている大道芸の男性がいた。
「水魔法だわ!」
フェデリーカははしゃいだ。魔力の弱い人はこうして大道芸人になることもある。
「お待ちください!」
キアーラは慌てて追いかける。
それからしばらく街を見て回り、人々の活気に触れて、楽しい時間を過ごした。
気が付くともう夕暮れだった。
「もうこんな時間。早く戻りませんと」
「そうね」
フェデリーカが答えたときだった。
少年がキアーラにぶつかった。そのままバッグを奪って走り去る。
「あ!」
キアーラが悲鳴を上げ、護衛が二人とも走り出す。
「大丈夫?」
「大丈夫です」
キアーラは気丈に答えた。
「すぐに取り返してもらえるわよ」
「そうですね」
その場で護衛を待った。が、なかなか帰って来ない。
「先に帰りましょう」
フェデリーカが声をかけたときだった。