左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
***
「うふふ、気持ちいい!」
離宮の屋上から街を見下ろし、フェデリーカは呟く。
「あなたたち、これで名誉挽回よ」
「ありがたく存じます」
先日街に降りたときについてきたフェデリーカの護衛だった。彼らは二人して持ち場を離れ、王女たちが危険にさらされたことに責任を感じていた。
「これからもやってもらうから」
言われて、護衛たちは目を見開いた。
「私は退屈が凌げて世の中のためになる悪党狩り。こんないいことはないわ」
フェデリーカは護衛に振り向いた。
「世直しよ!」
彼女が目を輝かせると、二人の護衛は不安そうに顔を見合わせた。
フェデリーカはあえて夜の街を歩いた。
一人で歩いていると、男が声をかけてくる。
よからぬことをしようとした瞬間、その足元を崩す。
男が転んだ直後に護衛が飛び出して捕まえる。縛り上げ、地面に罪状を書き記す。
別の夜は盗みを働いた男の足元に穴をあけて転ばした。護衛が捕まえ、縛り上げる。やはり地面に罪状を書き残した。
毎晩のように街へ行き、それを繰り返した。
悪を退治する快感に、フェデリーカは酔いしれた。
魔力が強くなっていることも彼女の気分をよくした。
「王宮でのストレスから解放されたから魔力が戻ったのね!」
人ひとりを落とせるほどの穴が掘れるようになっていた。
昼間は魔法の練習に時間を費やした。神官を呼び、効率的な魔法の使い方も学んだ。
なにも知らないキアーラは、お励みください、と応援した。熱中できることがあるのはいいことだ、とほほえましく見ていたのだ。
フェデリーカはさらに大きく深い穴を掘れるようになった。埋め戻しもできる。ある程度の距離にある石を転がしたり引き寄せたりすることもできるし、岩を砕けるようになった。細かい魔力の調整はできなかった。穴の大きさはある程度コントロールできたが、繊細な魔力の使い方はできない。彫刻家になるのは無理そうだ、と思った。
「井戸掘りもできるかしら。上下水道を作るときも楽になるわよね。これなら人の役に立てそう」
穴を見て、満足そうにつぶやく。
「最近街を騒がしている放火窃盗犯も、私が捕まえてやるわ!」
フェデリーカはすっかり調子に乗っていた。